はじめに
「ワーママ管理職体験記」で管理職時代の苦労話を書いています。
今回は、メンタル不調の部下との関係に悩んだ話です。
体調が安定しない部下を受け入れ、業務を調整しながら支え続けたものの、回復した頃には「部署の雰囲気が合わない」「評価が不当」と言われ、他部署への異動を希望されました。
この記事では、そんな私の経験についてお話したいと思います。
メンタル不調の部下を支えた日々

私が管理職時代になりたての頃、とあるメンバーが体調を崩し別部署から一時的に異動してきました。
「しばらく落ち着くまでのサポートをお願いしたい」という話を受け、私は迷いながらも引き受けるしかありませんでした。
業務の負担を減らし、進捗を確認しながら、こまめに声をかける毎日。チーム全体の負担が偏らないように配慮し、周囲への説明にも気を遣いました。
プレイングマネージャーとして忙しい日々の中、時間的にも精神的にも大きな割合をこの部下の対応に割いていたと思います。
それでも、「この人なら任せられる」と頼られたことが、最初は少しだけ誇らしくもありました。
復調とともに見えた距離の変化
半年ほど経ち、少しずつその部下の様子が変わってきました。
表情に明るさが戻り、声にも張りが出てきた。それから、少しずつ仕事での成果も出るようになってきた。本来なら喜ばしいことのはずでした。
けれど、仕事の成果が出始めたのと同じ頃から、自信を持ち始めたのか、「この部署は自分に合わない」「自分はこの部署では評価されていない」といった言葉が部下から出てくるようになりました。
やがて私や部署に対しても批判的な発言が増え、最終的には異動を希望。
もともと一時預かりという状況でしたので、体調が良くなりもとの部署に戻るのは予定通りと言えば予定通り。
それでも、胸の奥に残ったのは、あの時間と努力は何だったのかという虚しさでした。
がんばるほど、難しい部下が集まってくる
最後には、部署や私自身の批判という結果になってしまったこの部下。
私にとっては心に傷が残る出来事だったのですが、この経験のあと私はなぜか「対応が難しい人材でもマネジメントできる」と思われたのか、問題を抱える人の受け皿のような存在になっていきました。
「○○さんなら大丈夫」と、難しい部下が毎年のように配属される。
今だから言えますが、他部署で上層部と問題を起こした人材、別部門で不要とされてしまった人材、そして発達障害を抱える人材。
「任せてもらえること」は信頼の証かもしれません。配属されたメンバーも人として嫌だとから嫌いだと思ったことはありません。
けれど、どこかで「またか…」と思う気持ちが芽生えていたのも事実です。
誠実にやるほど、心がすり減っていく。報われない構造の中で、少しずつ心が疲れていきました。
誠実であることと、抱え込むことは違う
この経験から痛感したのは、誠実さと抱え込みは紙一重だということです。
「自分がなんとかしなければ」と思えば思うほど、相手の問題を自分の責任にしてしまう。それは、本人のためにも、自分のためにもならないと分かりました。
例えば、メンタル不調の部下の場合、相手の不調は自分の責任ではないし、逆に調子が良いとしても自分のおかげではない、と割り切るようになりました。
そして、一番大事なのは自分一人で抱え込みすぎないこと。
自分の上司やチームメンバー、社内外の専門家などに適宜頼る。それが結果的に長く続けられる支援につながるのだと思います。
難しい部下を抱える場合、支える側にもケアが必要なのだと思います。
まとめ
メンタル不調の部下を支える立場にいる人もまた、影響を受けています。
部下の調子が悪いと、自分の気持ちも引きずられる。眠れなくなったり、チームの空気に敏感になったり。それでも「上司だから」と気を張り続けてしまう人は多いでしょう。
支える管理職も適切にケアされ、報われるますように…。私自身の経験から強く願っています。
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