はじめに
「女性だから下に見られるのでは」「男性部下にはどう接すればいいのだろう」
女性が管理職になると、部下との関係に悩む人は少なくありません。
以前の記事では、管理職時代の体験を書きました。
今回は、そういった大変な経験を乗り越えた私が行きついた「女性管理職としてあり方」についての考えです。
実際に、20代から60代までの男性部下と関わってきた経験をもとにリアルに感じたことお話します。

結論:性別で接し方を変える必要はない
私の結論はシンプルです。
女性管理職だからといって、部下に特別な接し方をする必要はない。
相手の性別や年齢にかかわらず、この3つを意識しておけば十分です。
- 一人の社会人として相手の考えを尊重する
- 特定の部下と親しくなりすぎない
- 年上の部下には敬意をもって接する
それでも相性の合わない部下はいますし、批判の対象になることもあります。
けれど、私の経験では問題行動を起こす部下は男性上司に対しても同じような態度を取っていました。つまり、上司が女性だからではなく「その人の問題」なのです。
反対に、何かトラブルが起きたときに「嫉妬されているから」「自分は悪くない」と決めつけるのも違います。感情ではなく、事実を見て対応することを心がけています。
20〜30代男性部下との関わり:自然体で働ける関係
この世代と働いて感じたのは、女性上司への抵抗感がほとんどないということ。共働き家庭が当たり前で、性別よりも仕事の実力や人柄で判断される印象です。
新婚の部下とは家事分担の話、子育て世代の部下とは育児の話で盛り上がりました。20代の若手から恋愛相談を受けたこともありますし、子どもと同じゲームをしていたことで会話が弾むこともありました。
私が意識したのは、上司・部下という立場を強調しすぎないこと。自分を飾らず自然体で話すことで、年齢差を超えた信頼関係が築けました。
40〜50代男性部下との関わり:敬意と聞く姿勢を大切に
この世代は、他部署で長くキャリアを積み、異動で自部署に来た人が多い層でした。
まず意識したのは、相手のこれまでの経験に敬意を示すこと。豊富な知識と実績があるため、一方的に指示を出すよりも、「どう進めますか?」と意見を聞いてから方向を決めるようにしていました。
それでも一人、管理職になれなかった悔しさを抱えていた方がいました。
次第に私への不満を表に出すようになり、最初は自信を失いましたが、やがて「誰が上司でも同じ結果だった」と気づきました。
この経験が、「女性管理職だから嫌われる」という思い込みを手放す転機になりました。
60代男性部下との関わり:世代よりも背景の違いを理解する
もともと現場で管理職をしていた方が、定年後に管理部門に異動してきたケース。最初は正直、「下に見られている」と感じる瞬間がありました。
あるとき、内部監査でその方の担当範囲に是正が入り、私は深く考えずそのまま伝えました。
すると、平場で強い反発を受けてしまいました。驚きましたが、話をよく聞くと、以前から管理部門全体への不満を抱えていたとのこと。
その出来事を通じて、「女性だから反発されたわけではない」と気づきました。
背景を理解せずに判断していたのは私の方だったのかもしれません。相手の立場を知る努力が足りなかったと、反省しました。
嫉妬や違和感を感じたとき、どう受け止めるか
嫉妬や抵抗のような感情に直面すると、つい自分を責めたり相手を悪く思ったりしてしまいます。
でも、そうした感情の多くは相手の中にある未消化な不安や葛藤からくるもの。必要以上に反応せず、感情と事実を分けて考えるようにしていました。
私が心がけてきたのは次の3つです。
- 部下に対して偏見を持たず、一人一人フラットに接する
- 感情ではなく、事実をもとに対応する
- 自分の問題と相手の問題を切り分ける
職場では、誰かが嫉妬や違和感を抱くのは自然なこと。それを避けるよりも、うまく受け流す力を身につけた方が長く働けると感じます。
まとめ
女性管理職として働いてきて思うのは、「女性だから」「男性だから」という枠で悩みすぎないことが一番大切だということです。
どんなに誠実に接しても、合わない人はいます。
けれど、性別や世代を超えて「人として誠実に向き合う姿勢」を続けていれば、周囲の見る目も必ず変わっていきます。
それが、私がたどり着いた女性管理職としてのひとつの答えです。
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