元大手企業管理職の私が年収1/10のフリーランスになった理由

目次

はじめに

「なんで辞めたの?」と、よく聞かれます。

会社を辞めたのは40代。
管理職という立場で収入は安定していたし、福利厚生も申し分なかった。
「辞める理由なんてないでしょ?」と思われるような状況だったかもしれません。

でも、私は会社を辞めました。
今はフリーランスとして収入は元の1/10くらい。おまけに体調も万全とはいえません。
でも?だからこそ?私の中では「今の暮らしを選んでよかった」と思っています。

今回は、私が大手企業の管理職という立場を手放した理由を正直にお話ししてみようと思います。

freedom

もう十分がんばった——管理職の仕事に感じた限界

会社員として、そして母として。

自分で言うのもなんですが、私は本当にがんばっていたと思います。
仕事に全力、家事や育児もこなして、隙間時間で本を読んだり勉強したり——
まるでマラソンをずっと走っているような毎日でした。

でも、ある時、ふと思ったんです。

私、なんのために頑張ってるんだろう・・・?

言い方は悪いけど、毎日のように、他部署との調整、役員の御用聞き、時にはメンバーの代わりに謝罪。
まさに“調整屋”としての日々。
頑張れば頑張るほど、さらに面倒ごとが降ってくる。

ありがたいことに、そんな私を評価してくれる人もいました。
「部長目指してがんばれ!」と言ってくれる方も。

でも、心が動かない。
部長を目指したいと思わなければ、課長として頑張り続けることもイメージできない。
「このままずっと、私じゃなくてもできることをやり続けるのかな」という虚しさが、どんどん膨らんでいきました。

私の専門性って、なんだったっけ。
やりがいって、どこにあったっけ。

その頃には、寝つきが悪くなり、体の調子もおかしくなり、朝、出社するのがしんどくて仕方なかった。


「このままでいいの?」家族の出来事が背中を押した

そんな時期に、父が急逝しました。
救急搬送されてから数日で、あっという間に——。

父は、自分のやりたいことをやりたいように生きた人でした。
私はそんな父の生き方を反面教師にして、反発していた時期もありました。
でも、まさか自分も同じような生き方を選ぶとは

父が亡くなったあとの日々、ぼんやりと頭に浮かんできた言葉は、「このままでいいの?」でした。
私は、自分の人生をちゃんと選んでいるのかな。
流されるように管理職になって、こなすように仕事をして、家に帰れば次の「やることリスト」が待っていて——。
この暮らしの先に、何が残るんだろう。

その頃、小学生の息子の学童問題も発生しました。
家の近くに住宅が増えたことで、次の年度からは入所できなさそうだという話。
もうちょっと長く在籍できると思っていたのに・・・学童が使えなくなる。

そうなると、放課後や長期休暇に、息子は家でひとりきり。
まだその時間を過ごすには、ちょっと早いと思いました。

息子は1歳から保育園に通い、学校・学童にも楽しく通ってくれました。
でも、どこかで「無理をさせてきた」という思いが、私の中にずっとあったんです。

子どもとゆっくり過ごせるのは、小学生のうち。あと数年。
その貴重な時間も、また犠牲にしてしまうの?

そんな思いが、時間はかかりましたが私の決断を後押ししてくれました。


「なんとかなるかも」退職を決めた自分の支え

退職を切り出すのは、本当に怖かったです。
でも、私の心と体は限界に近づいていました。

当時、コロナの後遺症の影響もあり、常にどこかしんどさを抱えていました。
年齢的な体力の低下も感じていて、会社に行くだけで精一杯。
この日々が、ずっと続くのかと思うと……とても無理だと思ったんです。

それでも、退職を決断できた背景には、小さな“支え”がありました。

ひとつは、金銭的な備え。
元々家計簿を20年近くつけていて、生活費や貯蓄の感覚はわかっていました。
フリーランスになって収入が減っても、ある程度は耐えられるという見込みがあった。

もうひとつは、副業の存在です。
当時すでに、月に数万円程度の収入がありました。
それだけでは暮らしていけないけれど、「まったくゼロじゃない」と思えることが、心の支えになりました。

本音を言えば、次が決まってから辞めるべき。
私が次の進路が決まっていないというと、周囲の人はみんな驚いていました。

でも、一度立ち止まって、ちゃんと休まないと自分が壊れてしまう。


退職後の“今”と、これからのこと

会社を辞めてから、私はしばらく「休むこと」にしました。
毎朝、子どもを送り出してからコーヒーをゆっくり飲む。
本を読んだり、散歩したり、寝たいときに寝る。
そんな暮らしは、10年以上ぶりでした。

とはいえ、のんびりしている余裕があるほど裕福ではありません。
でも、「自分で決められる」という自由が、今の私にはとても大きな価値になっています。

体調は、相変わらず万全とは言えません。
でも、毎日を自分のペースで組み立てられることで、無理をしすぎずに働くことができています。

そして、少しずつ「これからやりたいこと」が見えてきました。

  • 子どもとの暮らしを大切にしながら働く
  • 小さくても、自分で仕事をつくっていきたい
  • 同じように悩む人の役に立てることをしたい

「また会社員に戻るかも」と思っていた時期もあったけれど、今はもう、戻りたいとは思いません。
私は、フリーランスとして、自分らしいペースでがんばっていきたい。

そう思っています。


おわりに

安定したキャリアを手放すのは、怖かったです。
辞めたあとの生活はどうなるのか、本当にやっていけるのか、毎晩のように考えました。

でも、「このままでいいの?」という違和感を無視するほうが、私にはもっと怖かった。
何かを得るためというより、これ以上失いたくないものがあったのだと思います。

フリーランスの今、理想通りとは言えないし、完璧でもありません。
でも、自分で選んだこの道を、今日も一歩ずつ歩いています。

もし今、「働き方を変えたい」と思っている方がいたら、「自分の気持ちに耳を傾ける時間」を持ってみてください。
会社員としてのあなたには替えがいても、家族にとってのあなた、そして自分自身の替えはいません。

答えがすぐに見つからなくても、それはきっと、あなたの大切な一歩になるはずです。

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